満天の星空を見ながら、ふと想い出す。

今日でゴールデンウィークは終わりなんだなあ、と。



『日々連なって想うこと』



この姿になって、暑さも寒さもわからなくなった。

どんな場所でも歩け、宙に浮いて飛ぶこともできる。

だから、このところは魚を見たり、雪国のデジモン達の生活を眺めたり。

ただ、どんなにがんばっても、走るくらいのスピードしかでないから、

遠くには行けないわけだけど。

そんなことをしながら、毎日毎日、どうにか日々を繋げていた。

さすがに、暇だから。

食べることも遊ぶこともないってのは、ちょっとね。

それに、見守るとは言っても、もうお台場には行けない。

だから、別の場所の知らない人達を眺めるしかなかった。

デジタルワールドを使って外国の仲間の所に行ったとしても、

言葉がわからないし。

…でも、本当はそんな理由じゃなかった。

それはただの言い訳にすぎなかった。

一緒にデジタルワールドを救った仲間達を見てると、

前の学校の友達を見てるだけでも、

気になるんだ。みんなのことが。

気になるんだ。彼女の、ことが。

…見守りたく、なるんだ…。

行ってはいけないのに──。


連休中、上から見ていたせいか、多く感じた人込み。

どこかにいるんじゃないかって、何度も探してしまった、彼女の姿。

でも、いなかった。

どこの遊園地にも、公園にも、駅にも。

どの町にも、どの場所にも、

…いなかった。

でも、笑ってるよね?

心から、みんなと一緒に、笑ってるよね?



…あれから1ヶ月半経った。

彼女の幸せを願ったあの日から。

彼女に、普通の生活を送ってほしいと願ってから。

でも、僕の心は、いっつも彼女にむいてた。

自分から断ち切ったはずなのに。

朝目が覚めると、いつものベランダに行きたくなる。

…もっとも、会っていたときより、悩んでいるわけでもないんだけど。

…彼女に笑っていてほしいという想いの方が、強いから。

また、僕に笑いかけてほしいのも、事実だけど…。



いつだったか、僕を撮ってくれたあの笑顔。

いつだったか、カメラ越しに見た、彼女の笑顔。

その笑顔が、好きなんだからね…ヒカリちゃん。


だから僕は、その笑顔を守るために、記憶だけで、

がまん、するから…。





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作成日:2006/05/06
掲載日:2006/05/07